カレーの街よこすか

「マスター　海軍カレーって普通のカレーライスとどう違うんですか？」

10年前に、こんな質問をオーナーシェフの島森さんにぶつけた事があった。
当時＂よこすか海軍カレー”専門店として4年間、カレーの街よこすか事業を背負って立っていたマスターは、カレーのカの字も知らない初対面の若造の質問に対して笑って次のように答えてくれたのだった。

「海軍カレーとはね、旧日本海軍のレシピを現代に再現したカレーなんだけれども、簡単に言うと、カレールーやレトルトカレーがない時代に、どこの家庭でも手作りしていた昔懐かしい「お母さんの」味のカレーに近いんだよ」

―――スタートからブレずに前を向いて歩みを進める。これがいかに難しいことか。

小麦粉を空炒りした後、サラダ油を加えて丁寧に炒めるマスター
タマネギはキツネ色になるまで十分に炒めてから牛肉・野菜を加えてスープを作る・・・
野菜ブイヨンにフォン・ド・ボー、店内にはカレーの香ばしい匂いが立ちこめる。
　
スパイスは五感すべてを刺激する媚薬だ。抗えない力には従おう。この瞬間、私は島森ワールドの囚人となるのだった。

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気が付くと部屋の天井あたりから下を見ていた。
そこにはなぜか体操着姿の私、向き合って両親が座っている。

そうだ、今日は運動会のかけっこで１番になったから、ボクの好きなカレーを作ってもらってるんだったっけ。
「おかわり！」隣で妹が皿をスプーンで叩いている。「おいしいね」　みんなが明るく　しかし静かに笑っていた。

なぜか胸が熱く苦しくなってくる。無意識に声が出ていた。
「お母さ～ん！」　自分の声で意識が戻る。前にはなぜか　島森さんと奥さんの姿が・・・・ああ、ここは、ウッドアイランド、ですか。


「どうだ、美味しいだろ～　真心と愛情たっぷりのカレーは」とマスター。
ここは温かい空気が流れている場所だ。

ウッドアイランドは開店以来、何も変わらず今日も営業を続けている。
こんな懐かしいカレーを食べにお店に来て欲しいと思う。

ウッドアイランドがオープンしたのは1980年。
当初はハンバーグ・オムライス・ナポリタンなどメニュー品目の多い洋食屋さんだった。

島森さんが洋食屋さんをはじめるキッカケとなったのは、学生時代にさかのぼる。
アルバイト先の横浜の洋食屋さんで料理の基本を学んだ。
その店で出される＂まかない飯”の旨いこと美味いこと。

「おいしい食事」を提供することで、みんなに喜んでもらえる店を作ろう！
そう心に決めた。　この時の気持ちは今でも変わらない。
自分がかつて感動した味を多くの人たちにも伝え続けたい！

カレーの街よこすかの推進活動は今でも続いている。気がつくと事業者部会の副部会長になっていた。
今ではお店で扱う定番メニューは「海軍カレー」、「海自カレー」、「オリジナルカレー」、その他、季節ごとに取扱うスペシャルメニューだ。

平成23年には人気店の証である、店舗名を冠したレトルトカレーも発売した。
現在のお店の人気メニューは、レトルトのお土産としてもヒットしている「軍港横須賀キーマカレー」だ。
懐かしい味の「海軍カレー」とは違い、舌の先端を刺激するスパイスと良質の鶏挽肉を贅沢に使った逸品だ。

人生万事、順風満帆なマスター島森さんにも一つだけ悩みがあるという。　それは、後継者がいない事だという。　
ウッドアイランドの店舗内には「調理師免許」をはじめ、「薬膳食育師」「野菜コーディネーター」、料理コンテストなどの表彰状がズラリと並んでいる。　

「後を継げる人といったら、相当なセンスがあって調理の腕も高い人でないと厳しそうですよね～」　と尋ねると、「そんな事はありません」

1.飲食業に関心が高く、サービス精神のある方
2.島森さんと仲良く話ができる人
3.素人でも可

マスター、意外と誰でも弟子入り出来そうじゃないですか～
ボクでも応募できますかねっ？　ぜひ今日からお願いいたしますっ！（笑）