よこすか海軍カレーとは

よこすか海軍カレーとは

明治41年に発行された「海軍割烹術参考書(かいぐんかっぽうじゅつさんこうしょ)」には、日本海軍で提供されていた軍隊食のレシピが記されており、カレーライスの作り方についても記載があります。当時のレシピをもとに現代に復元したカレーが「よこすか海軍カレー」なのです。

現在認定店は40店舗を超え、基本のレシピに各店のアレンジを加えたカレーが提供されています。海軍カレーは栄養バランスを考慮し、サラダと牛乳を必ず添えることが提供のルールとなっています。

The recipe for curry rice is in the Navy Cooking Reference Book, published in 1908, which collects cooking recipes from the Imperial Japanese Navy at the time. The original curry recipe from that time continues to live on today through“ Yokosuka KAIGUN (Navy) Curry.”

KAIGUN (Navy) Curry is currently arranged and served at over 40 approved restaurants. As a rule, it must also be served together with salad and milk in order to be nutritionally balanced.

当時のカレーレシピの要約

材 料:

牛肉(鶏肉)・人参・玉葱・馬鈴薯(じゃがいも)・塩・カレー粉・小麦粉・米

作り方:

① 肉・玉葱・人参・馬鈴薯(じゃがいも)をサイコロのように細かく切り炒める。

② フライパンに牛脂をひき、小麦粉を炒めてカレー粉・スープ・肉・野菜を入れ弱火で煮込み塩で味を整える。

③ ご飯にかけて漬物類(チャツネ)を付けて提供する。

海軍割烹術参考書

当時は“カレールウ”などという製品はありませんでしたので、日本海軍のカレーは、牛脂と小麦粉・カレー粉から作る「手作りカレー」でした。 具材には人参、タマネギ、ジャガイモ、牛肉または鶏肉を使用していましたので、見た目には現代のカレーに近いものだったようです。 また、豚肉および豚脂(ラード)は使いませんでしたので、現代の私たちからすると“あっさりとした昔懐かしい味”のカレーだったようです。

横須賀はカレー発信の地

高木兼寛

明治初期、海軍・陸軍軍人の病死の最大の要因は脚気(かっけ)でした。 当時の日本海軍では白米中心で、たんぱく質やビタミンB1が不足した軍隊食が提供されていました。明治16年には脚気による罹患者数が1,632名、死亡者数が49名にも上り、軍内では早急に対策を打つべき深刻な問題となっていたのです。

明治17年、海軍軍医だった高木兼寛(後の海軍軍医総監)は軍艦筑波号による航海実験を行い「兵食改革」に着手しました。イギリス海軍で提供されていたカレー風味のシチューに小麦粉でとろみを付けて、ライスにかけたメニューを軍隊食に取り入れたのです。 このメニューはシチューの具材と小麦粉により当時の軍隊食に不足していた栄養分を補うことができるものでした。 その結果、明治18年には脚気の罹患者数は41名、死亡者数なし、という劇的な改善が見られ、脚気をほぼ撲滅することに成功したのです。

このときに採用されたメニューが現在の日本のカレーライスのルーツと言われています。

その後、カレーライスは兵役を終え故郷に戻った兵士たちにより全国に広まっていきました。 海軍とともに歩んできた街 “横須賀”。 横須賀はカレー発信の地なのです。 現在、横須賀市では、明治期のカレーを現代に再現した“よこすか海軍カレー”をメインブランドとして「カレーによる街おこし」を推進しており、全国に向けてカレーの情報を発信し続けています。

高木兼寛

「よこすか海軍カレー誕生」エピソード

よこすか海軍カレー誕生エピソード よこすか海軍カレー誕生エピソード

平成10年12月、海上自衛隊地方総監の退官を前にお別れパーティーが海上自衛隊 田戸台分庁舎で開かれました。 その席上で総監が、「呉市と舞鶴市では、両市が本家争いをするなど、肉じゃがを“まちおこし”に繋げているが、カレーライスが庶民の食卓に普及したのは海軍のカレーにルーツがあるので、海軍の街である横須賀でカレー発信の地として、“カレー”を地域の活性化に利用してみては」という趣旨の話をされました。
この話を受けて横須賀市役所、横須賀商工会議所、海上自衛隊の3者で調査、検討がはじめられ、旧日本海軍で提供されていたカレーを現代に再現する方針が決定しました。 平成11年5月20日、横須賀市は「カレーの街宣言」を行い、「カレーの街よこすか推進委員会」が発足しました

これが全国的にも初の試みとなる、横須賀市役所・横須賀商工会議所・海上自衛隊の3者が協力して行う「カレー」による街おこしのスタートとなったのです。
カレーの街よこすか推進事業のメインブランドは、海軍割烹術参考書(明治41年)に記載のある「カレイライス」の作り方をもとにして、現代に復元したカレー“よこすか海軍カレー”とすることが定められました。

カレーメニューの提供、商品の開発、販売は横須賀商工会議所に事務局を置く「カレーの街よこすか事業者部会」が担うこととなり、平成12年には「よこすか海軍カレー」の商標登録が認められました。

これにより、市内での海軍カレー提供の他、お土産用“よこすか海軍カレー”レトルトの製造販売、海軍カレー関連商品の販売もスタートし、加盟事業者は年々増加を続けています。平成11年の発足当時15社の協力によりスタートした“カレーの街よこすか推進事業”は、平成28年には登録事業者数90社を数えるまでになっています。

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